なぜアイルランドだったのか第二部

 
         第二部  キャロウモアの教え
 
 

4日目

もうこれで思い残すことはないと、早くも郷愁にひたる
バスの窓枠に片ひじついて、何度も見た風景をぼんやり眺めながらポートラッシュを後にする

最初の乗り換えのコーリアンのバスセンターに着く
今日まず目指すのはロンドンデリーの街、そこで何が起こるか見て決める

バスの発車時刻までは3時間近くあるので、何回も乗り換えだけお世話になったこの町を見てまわる
店頭は押し迫るバレンタインデーのプレゼント商戦一色
やはりアイルランドはピンクというよりは緑色なんだなー
乗り換え拠点となったやさしい町の時間も、ゆっくりと過ぎていった
バスが来た
 

ロンドンデリー着

おーひさびさ都会だ
たしかに名前どおりロンドンぽい街中を探索
うーん、空気の匂いが何か苦手だ
なので、昼食にサンドイッチだけ買って早々に発つ
あら、このバスからユーロ支払いなのね
次にめざすはドネゴ-ルの街
ゆらゆら周囲の様子が変わってきた
 

ドネゴール着

いい街だ
グレンコルムキルからのレイラインの流れを感じる
探索する
川沿いの雰囲気も異国情緒たっぷり
今日はここに宿を決めるべきなのか?
いや、スライゴーまで行ってみよう
バスは?
ある!
 

バスに乗るときは、いつも確認
「スライゴーに行きますか?」

ポール・マッカートニー似の運転手
「スライゴーだって?」
「あんなに素晴らしい所は俺は知らないね」

ジョークで切り返すなっちゅーの
ドキドキするだろー

降車する乗客に言う「バイバイ」の軽快さが人気者の証、いい人だった
 

スライゴー到着

ポートラッシュから9時間の移動
バスセンター到着直前にホステル(安宿)の看板が目に入った
その「レイルウェイ・ホステル」に行ってみる
入口らしき所に立つと
あ、扉が開いた
クイーンのブライアン・メイが初老になったようなアーティスティックなオーナーが巨大な犬とともに現れた
ちょうど宿泊客を送り出すところだった
「今日泊まれますか?」
「入りなさい」いい感じだ、巨大犬の後ろについていく

6個ほどベッドがある部屋で、ドイツ人ギャルと二人っきり、日本では考えられない
とりあえず近所の24時間スーパーで晩ご飯を探す
アイルランド情報どおり冷凍食品がかなり充実している

ギャルは夜の街へ繰り出した
自分は明日に備えて就寝
しかし悪夢を見て起床
早朝まだ暗いうちにスーパーへ
この時間には客は誰もいない
気になっていた冷凍食品を買う
昨日遠めで見ていた自動支払機で清算してみる
意外と簡単だった、なれればどうってことはない
「人は未知のものを恐れるわけだから」ドクター伊良部のことばが日本から届いた。
 

5日目

今回の旅、第2の目玉、キャロウモア遺跡へはこの宿から歩いて90分とのことだった!
楽勝でっせ~
 

★キャロウモア遺跡とは。。。。
紀元前6400~5800年に建設された60以上の墓石からなるアイルランド最大、ヨーロッパ最古の巨石古墳
ニューグレンジ(後述)と同様に遺跡全体が祭祀目的で造られたとされる。
 

住宅地を抜け、正面に見える丘に向かい、朝の新鮮な空気を吸い込んで歩く
道はわかりやすい
たまに、良いのか悪いのかよくわからないフルーティーな匂いが鼻をつく
これって羊たちの飼料?

石がぽつりぽつり土から顔を出してくる
そろそろ近づいてきたなー
と、
とつぜん右手の甲の一部が熱くなってきた!
こんなの初めてだ

ビジター・センターの横にいる農夫風(ていうかそうなのだろう)のおじさん連中が「こっから入んなー」
入場料払わなくても入れたー

それぞれの遺跡に番号が付けられている
51番の石で作られたドーム
どうやらここが中心となって配置されているようだ

中に入る

あらーこんなドルメンくんがいましたー
しばしドルメンくんと午前のくつろぎタイム
 

さっきのおじさんに聞く
「エクスキューズミー、サー」
「石はどの辺りまで拡がっているのですか?」

「だから、この辺一帯ぜ~んぶそうなんだって、勝手に見てまわりなー」

本当にたくさんあるなー
雨が強くなってきたので、7番の小型ドルメンの中に入って座り、雨宿り
これは一人用ですね
イースター島でスコールの時、おじいさんのような巨木の中に入り、たくさんの昆虫達と一緒にじっと雨宿りしたことがあった
「ぼぉくらはみんな生ーきている~」暖かい安堵感に包まれていた
それが時空を超えてよみがえる
 

               「あるがまま」
 
 
 
 

 
 「ドーン」           「アンシン」

すぐ目の前の石に、例の三角形らしい模様が見える
またここで久高(知念)マークかー
たまには、こだわることも悪くない
 

雨が上がり、もっと遠くまで足をのばす
背後に見える山が妙に気になる
大きいストーンサークルの中に牛の群れ
「ただいまヒーリング中だよーん」とこっちを見る
なるほど牛のうん○が多いわけだ

後で聞いた話では、気になる山はノクナリー山といい、山頂には神話で有名なコノハト地方の戦士、女王メイブのお墓があり、先に行った51番と一直線に繫がっているという(※写真中央の右側、平らな山に小さくポツンとあるのがお墓らしい)
 

まだまだ先を行く
家は点々とあるが
人はいない
羊だけ
笑点のテーマを口笛でふいてみる
のどかだ
 

そしてストーンサークル発見
これですね、まちがいない

おじゃましまーす
石たちに囲まれる安心感とドンファンの教え
「疲れたらいつでもここに戻って来い、もうお前ならできるはずだ、牛のうん○も大歓迎だぞ」
例の妙に気になる山を見つめながら、石の中心で愛を叫ばずに感じ取る
 

カラスが言語にならない何かを教えてくれた
「時間ですよ」
とうてい左脳では理解できそうにないことを。。。。

ものごとそのものに意味はない

何かが大きく変わった、ひと段落
  

あとは行ける所まで、もう何かを探すでなく、軽い気持ちで歩く

黒い顔の羊たちは沈黙していない
通りかかると
大人たちはいっせいに
「だれですか?」とゆっくりこちらを見る
それと対照的に
ぴょんぴょんと走る子羊がチョ~かわいい♪

犬を散歩しているカップルとにこやかに挨拶

もうここまでかなー

引き返すことにする

またカップルに会った、にっこり

ほっこりと風呂上りのサウージサウダージな気分で来た道を帰る
 

昼間のスライゴーの街を探索
夜と違っていろいろな建物や街の人達を感じることができる
今まで培ってきた伝統と新しいものが、ちょうど良く混ざり合っている
ポール・マッカートニーが賞賛していたはずだ
 

ホステルに戻り、リビングで別部屋のビリーくんと話す
「ロンドンデリーやドネゴールは僕も苦手でしたねー
マーム・クロスという所がいいですよ、おすすめです
あそこには昔ながらのアイルランドがありました」

ふむ、
どこかへ行き、そこで賢者に会い、話を聞き、それを元に行動に出る
まるでドラクエのような展開の旅なのかも知れない
東京の日常とは違う形で
ポートラッシュでは「やさしさの泉」や「王が世界を治める秘密」等のアイテムをゲットした
本日のアイテムは「アンシンの剣」
この先これらを駆使してボスキャラと戦うことになる、そのために、ここに来たのだ!
 

オーナーのブライアン・メイが「明日泊まるのは本当に大変だよー、バレンタインデーで週末だからー、予約したほうがいいよー」と言って電話機を持ってきてくれた

どうもありがとうございます、何とかなると思います(何にも考えてないですから)
 

6日目

ひとり早朝のホステルのリビング
明るくなってきた外では、小鳥がチュンチュン
冷凍食品をチンして、お湯を沸かして、BBCにチャンネルを合わす
うん、冷凍カレーはなかなかイケる
ありがとう、いい薬です
昨日、部屋のキー返却箱に日本語で書いてくれと言われたので、「鍵」と書いた
その箱にポトリ、鍵を入れる

「さよならスライゴー」

もし自分が井上陽水なら30万枚は売れるはずだ
今日はどういう展開になるのだろう

そういえばバレンタインデーはもしかしたら祝日だったりするのか
バスセンターで確認、違ったーあぶないあぶない
おや、今度は乗ったバスが動かない
車体トラブルのため、みんなゾロゾロもう一台の車両に乗り換え
展開はまったく読めない

「ドーン」とかまえて「吉」となる
 

バスはどんどん南下

家々の煙突の煙と、洗濯物が気分をホッとさせる

アイルランドにおける「幸せの黄色いハンカチ」状態か

思い込みでも拡がること、「愛」が。。。。
 

ゴールウェイに到着

なんとまあ噂どおりのチャ-ミングな港町だこと
やー盛り上がってますね~バレンタインデー
大聖堂の前にはラッキーグッズを売るお兄さん
まずは厳しそうな宿泊を探すか?バレン高原か?アラン諸島か?それとも?

「行動はエレガントに、判断は迅速に」 byカウヒ

マーム・クロスへ行ってみよう

すべてはそこで確かめる

今がわからないから

バスに乗る

ブーン

海岸線が素晴らしい

ブ~ン

なおもつづく

ブ~~ン

んで着いた

雨のマーム・クロス停留所

目の前には閉まっているホテルだけ

完璧なオフシーズン、アウトー!

たしかに交差点のフリーマーケット状態の人々は皆とてもいい感じだ

リンゴを1個買い、おじさんと話す

「ここにゃ泊まるところはないぞー」

発展性がつかめない

戻るしかない

「行動はエレガントに、判断は迅速に」 byカウヒ

ヒッチハイクしか残されていない選択肢

雨がいい具合に哀愁をそそるはずだ
 

車に乗せてくれた多くを語らないが、やさしいアニキ
探偵といっても通じそうな風貌
すれ違う車や歩く人に、さかんに挨拶している
ダッシュボードには無造作に置かれたマリア像と小銭とほこり
ありがとう

となり町のオウタラードまで送ってくれた
ここも本当にいい町なのだが、宿では釣り人だけが大歓迎を受けるんだろう
釣り好きには、たまらない町だ
乗せてくれた探偵も「釣りはやらない」と言っていた
バス停チェックにも慣れてきた
ゴールウェイ行きは意外と早く来そうだ

引き返すぞー

フィッシュ・アンド・チップスのチップス抜きを食べながら

バスの車内には「シンディ・ローパー」の「トゥルー・カラーズ」が流れている

風景と気分とに絶妙にマッチング

次回のDJでは絶対かけよう
 

やはり盛り上がり真っ只中のゴールウェイに着いた

「そうだダブリンに行こう」

このキャッチコピーはなかなかいいと思った

ダブリン行きならバスは多い

一気にアイルランドを横断

途中の町で一列に並んで帽子を被り、クイズを出されることがないのが残念だ

最初から思っていたけど、車内の時計があっているためしがない、動いてないと思う
これもてーげーな感じ

日本には見られないラウンドアバウト(円形交差点)を何回も通り、目的地へ向かう車
本当にぐるぐるが好きなんだねー

バスは沈む夕日に照らされて、ダブリンの街へ近づいて行く
 

さて、今夜どこかに泊まることはできるのか?
 

ラッキー続きもここまでなのか?
 

いよいよダブリン市内に入った
 
 

To Be Continued→(バック・トゥ・ザ・フューチャー2の曲でも流してください)
 

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なぜアイルランドだったのか第二部」への2件のフィードバック

  1. 初めまして。アイルランドに興味があり、旅のレポートを興味深く楽しく読ませてもらっています。まるで「導かれるような」そんな感覚で旅をした実感が一度もないので、とても羨ましいです。どちらというと、いつも何かに行動を邪魔されるような障害か壁を常に感じているような感じです。アイルランドには小説を書きたいと、常々気になっている場所で、私もいつか行ってみたいと考えています。

    アイルランドの写真やケルズの書をモチーフに作ったデジアートです。

    http://book.geocities.jp/hometown_pocket/kgi.html

    あと、冒険と聞いて、こんなゲームを作りたいとシナリオ(途中)を書いてますが、アトランテイス時代のことを探求していて、候補にアイルランドが浮かんでいるのですが、なにかないかと現地のスピリチュアルな話を求めています。

    http://book.geocities.jp/hometown_pocket/Aq.pdf

    何か思い当たるものがあれば、ちょこっと返信お願いします。

    • 郷里懐さま

      コメントありがとうございます
      困難もまたひとつの導きだと思います
      自分が行けなかったアイルランドの南のほうがすごいかも知れません
      アトランティス的には…

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