そしてモアイ

イースター島着陸まであとわずか!
 

おや?
窓から見るとタヒチとは違う色

緑ではなく茶色の島だ
 

ここがイースター島、現地の言葉でラパヌイ(広い大地の意)

来た、ついに来てしまったーーーっ

ダカドン♪
「世~界中をぼ~くらのぅ、なみ~だで埋めつくしてぇ
やりきれないこんな思いが、今日のあ、め、を、降らせて~も
あ~たらしいこのぅ朝が、いつ~ものよに始まる
そんな風にそんな風に、僕は、生きたいんだー、生きてーいきたいんだ~ぁん」
~水曜どうでしょうより
 

スペースシャトルの緊急着陸用空港でもあるマタベリ空港
ゲートを出ると、客待ちの宿の人たちが取り囲む
南米のいかがわしいワクワクな空気が広がる
ここはチリの領土である
 

来られなかった友人の情報メモとゲストハウスの名前を照らし合わせる

「お~よく来たなーアミーゴー」

うさんくさいヒゲのおっちゃんについてゲストハウスへ

言葉の最後には必ず「アミーゴー」が語尾につく

「じゃあ行くぜ、アミーゴー」
 

部屋はいい感じだ

荷物を置き、まずは大きな通りに出てみる
 

タヒチ的な平和な気分でいるとき、それは起こった
 

すぐさま悪ガキ3人組に「家に来なよ~」とあっさり車に押し込められた

拉致される時はこんな感じなのだろう

どこに行くのかさっぱりわからない

何分走っただろうか、時間の感覚がない

降ろされて、ガレージの中に入って行く

遠くから見つめる家族はあきらかに舌打ちしている

サングラスで強面兄ちゃんのラジカセからは、大音量のオールドディスコミュージック!

とりあえず、何か食えと食べ物が出てきた

訳わからず、とにかくお互いカタコトの英語で会話する

リーダー格のヒットくんが自分の父に似ているのが不思議だ
 

時間がたつと、だんだん空気が変わってくる

「日本人は何で戦争が好きなんだ?」
「おまえらはどうして人を殺しまくるんだ?」
「おまえは戦士なのか?」

ヒットくんは同じことを何度も言うようになった

こっちの言い分には耳を貸さない

英語も聞き取りづらくなってきた

目に狂気が浮かんできた

下っ端と思われる優しそうな少年が
「そろそろ危ないから、帰った方がいいよ、僕が何とかするから」
と、隙を見て逃がしてくれた
 

少年が連れて行ってくれた海岸で、しばし呆然

もちろん悪意の拉致ではなく、歓迎の拉致なのだが

ここは楽園気分じゃだめだったのだ
 

海を見ながら打ちひしがれていると

「日本人の方ですか?」

声をかけてくれたNさんは、仕事をしながら世界各地を飛び回るトラベラーで、しかも自分と同じ道産子なのであった

どこかでGETしたサンダルを片方無くしたとのことで、片足は裸足だ
ここでは何の問題もない

気があって行動を共にすることになった

運命の出会いだった
 
 

翌日
当初ここにいるはずだった友人からのお土産の洋服などを、現地のファミリーに渡す
子供たちの目は本当にキラキラしている
庭ではニワトリが右往左往している

だが
まったく言語がわからない
ラパヌイなまりのスペイン語
Nさんが通訳してくれた
「何で結婚してないんだ、子供をたくさん作れ!」って言ってますよ
 

すべては順調に進む
その必要性があるならば
 

大画面プラズマテレビでサッカーの試合を見ているゲストハウス経営者
トタン屋根で暮らす大家族
ここでも経済格差は大きい

しかし
ioranaと言えば、誰もが平等に、明るい声を返してくれる
 

iorana(イオラナ)

ラパヌイ語で、おはよう、こんにちは、こんばんわの意味

ラパヌイ美女も、周囲に星が飛び散る笑顔とともに、こちらのハートを直撃してくる

通りを歩いている時、ふと横を見ると、自宅の玄関先で作業しているお兄さんが中途半端ではなくグワッとこちらを向き、クワを天に向けた大魔神スタイルで堂々とした「イオラーナ」

みな明るい
 

宿泊しているゲストハウスの隣での結婚式パーティに呼ばれた
大勢の人たちが、無料で飲んで食べて踊って祝福する

演奏しているバンドがいい
ラテンとロックでゴーゴー♪

地元の若者の一人と意気投合した
いい青年だ
自分の部屋に戻って飲み直すことになった

セルベッサ(ビール)でマヌイーア(乾杯)

お互いカタコト英語で楽しいひととき

あれ、彼が妙に至近距離に来る

「いや自分は違うんで」

「そこをなんとか」

彼はゲイだった

説得すること30分

しぶしぶ納得してくれて、無事パーティ会場へ戻る
 

夜は終わらない

気がつくとトランス状態で、地元のおばちゃんと踊っている自分がいた

みな明るい
 

Nさんと観光ポイントを回る日々

道ばたのグアバなどを食べながらの長時間歩きとヒッチ

まずはラノ・カウ山の火口湖
イースター島は火山の噴火でできた火山島だ
直径約1.6kmのすり鉢状の湖は迫力のある絶景
できるかぎり下まで降りてみる
 

オロンゴ岬の断崖に立つ
近くの小島まで泳いで渡り、卵を抱えて潰さずに持ち帰った者が村を君臨する鳥人レースの舞台
その様子は映画「ラパヌイ」(1994年ケビン・コスナー製作)で観ることができます
 

アフ・バイフ
くちはてたモアイに心を引かれる
マナと呼ばれるパワーはモアイの目にあるとされる
瞳はオブシディアン(黒曜石)で、白目の部分はサンゴである
戦争時には、目を奪い壊すことで相手の戦闘意欲を抜く戦士たち
やはりどこの世界でも、目のパワーは重要なのだ
 

ラノララク
石像の切り出し場
切り出し途中のモアイがでかい
有料ガイドの説明に聞き耳をたてる(英語だけど)
とそこに見たことのある人が
あー、飛行機で隣の席だったあのクリスタル・ケイヴスのおっさんだ!
蛍光色の短パンが似合うナイスガイなのであった
 

などなど、いろいろ観光ポイントはあるのだが、その中でも特に興味があった丸い石テピトクラ(光のへそ、別名地球のへそ)に行くことができた

島に最初に渡って来た部族の王ホツマツアが、ここにマナのパワーを秘めた不思議な丸い石をおき、世界の中心と定めたと言われている

その目と鼻の先に住んでいる地元の方(Nさんの知り合い)に色々とごちそうになった
獲って来られた魚を焼いて手で食べて(これが熱い)、いただいた後の骨などは燃やして天に帰す

ここでもタヒチ同様、ダイソーの青いビー玉しかないので、お礼に渡す「たいしたものじゃないんですが。。。。」

すると、急に表情が変わって、超ダッシュでテントに戻り、神棚から石を持ち出してきた

「これは俺が彫ったものだ、お礼にお前にやる!」

「え、いいんですか?」
 

鳥人が彫られたこの火山岩(スコリア)は、今でも宝として我が家に鎮座しております

翌日
偶然に通りで出会った彼の大きな胸には、星のごとく青いダイソー玉が、自作の重厚な首飾りの中央に光り輝いていたのでした
ありがとう!
こちらこそ!
 

「タパティ・ラパヌイ」
ラパヌイ女王を決める一大フェス
最終日には2名の候補者からどちらか1人が選ばれるお祭り

イベントの様子の一部(動画)→www.youtube.com/watch?v=Yn2Fe5xsQeI

夜の会場内は楽しい混乱を極めている
誰も状況を把握してない感じ
これこれ~!
すごい祭りだ~エキサイティング!わっしょいわっしょい!

昨日見かけた地味な(というか独特なファッションで目立つ)おばさんが、今日はド派手な衣装でガンガン踊っている

これはたのしいぞーーーうぉーーー♪
 

日中のイベントのひとつ、サッカーの試合に出場する
外国人旅行者チーム「チーム・モスキート」が結成された

キーパーになった

相手の動きが速い

すべって転ぶ

くー頭うった~

地元チームはさすがに強すぎる

イケメンぞろい(本当)のモスキートは大差で負けた

にこやかに握手する旅行者たち

みな明るい
 

知り合った日本人が泊っているゲストハウスに招かれた
ノートPCで、南極に行った時の映像を見せてくれたドイツ人
新宿にも来た事があるらしい
おのおの料理するディナーで盛り上がった
たのしい
 

翌朝

彼の部屋に空き巣が入り、靴以外のすべてが盗まれた

ここは治安は良いとされているが、近年様子が変わって来たと
ゲストハウスのオーナーも落胆している
警察はだいたい誰の仕業なのかは分かっていると言う

言葉が見つからず、自分の守り神であるクリスタルペンダントを差し上げた
「大丈夫、きっと、いいことがあるよ」
 

Nさんと行った山にもう一度ひとりで行ってみた
通りすがりの木の実を食べながら何時間も歩き進む
自分がたくましくなっている錯覚に落ち入る

突然の豪雨
風邪はひきたくないが、雨をよける場所はどこにもない

ふと目を凝らすと優しい老木が立っていた

まるでカプセルのごとく
人ひとりが精一杯の空間があった
虫たちと雨宿りした
ゴキブリやらなにやら多種多様な虫たちが、すぐ目の前で渋谷のスクランブル交差点状態になっている
不思議と全く気持ち悪くない

自然と一体となっている

僕らはみんな生きている、ただ形が違うだけなんだ

問題はない
問題を日々創り出しているのは自分だ
 

ピンと来た石を拾って持ち帰る
持って行って良いですか?は必需のことば
この小石が、あとあと伊豆大島とイースター島のゲートを開くことになる

役割とは「する」ものじゃない、「させられる」ものなのだと思った
 

まだ誰も来ていない待ち合わせのロビーで
机に張られているイースター島全図を見て、北海道を思い出す
またしても故郷にいる感じが否めない
遠いような近いようなこの感覚

少なくとも過去の経験が細胞に埋め込まれているのは間違いない
 

「たしかにここにいた」
 

様々な思いを胸に
いよいよ明日はタヒチへ戻る
 

香川県高松市に本社を置く株式会社タダノが、クレーンを持ち込んでモアイ像の修復を行った15体のモアイが並ぶアフ・トンガリキ(絵はがきでよく見る横並び一列の)

その高松出身で(後に行く事になる)すっかり仲の良くなった女の子の
「帰りたくないね~、ずっと居たいね~」この言葉が引き金を引いた
 

「飛行機が遅れて今日は来ないので、自由行動でいいですよ」

との空港係員の言葉を受け、行き残していた360度の眺めが見られる山に登った

よかったー
 

和やかなランチタイム

新鮮なサシミに、賞味期限が数年前には切れているワサビの瓶の大サービス

ベランダ席での食事は、やはり気持ちが良い

笑顔が並ぶランチ上空をランチリ航空機が飛んで行く

キーン

ん????

ん????

ん????

なんで??
 

空港に行く

すでにタヒチ行きは去ってしまった

来ないはずの飛行機が急遽来たらしい

次は未定だ
 

空港カウンターで交渉のすえ、宿泊費用はランチリ航空持ちで極上のホテル(敷地の真ん中にプールがあったりする)に宿泊することになった

昼食のお弁当まで作ってくれる、さすがだ

こういうセレブな所も知っておいて損はない

しかし次の便はいつ来るのか?

果たして日本に帰ることができるのか?
 
 

いま

人生初の南半球にいる

日本から遥か彼方に来ていることを実感する

日本では見ることのできない「南十字星」

その近くにはそれっぽい「ニセ十字」というのもある

何にでも本物と偽物がある二元性

夜の空気の香り

南の島の独特な香り

たったいま

これはわかったと思ったことが

香りとともに記憶された
 
 

海岸で、馬に乗った若者が近づいて来た
拉致3人組のひとりが、口にVサインをあててタバコをせびって来る

「何でお前は日本人なのにタバコを吸わないんだ!?」
 
 

空港内のお土産屋のブースをちら見
ここはチリ領なので、チリ産のラピスがけっこう置いてある

いよいよ本当に島を離れる時が来た

Nさんと、日本帰国の後発組が見送ってくれた

か、かえれた。。。。
 

帰りのラン・チリ航空機内は、来た時に比べてあまりにもしょぼい
オプショナルツアーでタヒチから来た新婚カップルにはポイント下げられるぞー大丈夫かー
 

タヒチのフィアア空港に降り、そのまま日本行きに搭乗、こんなのもアリなのね

結局タヒチは、ライアテア島以外はどこにも行けなかった

それでいい。
 
 

人は
安全な「国」を出る時には、緊張と期待を携えて

地元と思われる場所へは、弛緩と記憶を手みやげに戻る
 

帰国後の覚醒さかげんがすごい

いつもの自分の部屋が光に満ちあふれているのだから
 

現地で聞いて最高に良かった有名バンドの「トパタニ」のCDをかける

身体が勝手に動き出す
 
 

人は
自分とはかけ離れた違う場所に行くことで、普段の思考から解放される

いつも旅から学ぶものは、自分本来の姿
 

「鏡」
 

鏡のように磨きこまれた自分とともにある
 

それはあまりにも楽しすぎる体験
 

少なくとも
明るいイオラーナは、自分の明るさを写し出していた
 
 

そして、これが翌年のハワイ上陸につながるとは、この時には全く知る由もなかったのです。
 

            THE END
 

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