「二股に分かれた道で、下駄を投げて行き先を決めるような旅をしていくと、
必ずプレゼントが待っている。
旅そのものが、どこか特別な場所に連れていってくれるのだ。」
細野晴臣
そう
すべてはここからはじまった
「Tapati Rapa Nui 2002」
世間的には、ソルトレイクシティ冬季オリンピックの2002年2月
ある日友人から
「イースター島に遊びにこない?向こうでバイトすることになったからさー」 と連絡が来た
当時、某国営放送局に勤務していた自分は、長期休暇は取れるはずもない
水晶はじめ色々な石に興味を持って鑑賞していた(この時はまだ使ってはいない)自分は、はがゆくもその話は流すしかなかった
そこに奇跡が起きる
オリンピックの開催時間帯の都合で、担当番組が休止となった
とんとんと話が進んで行く
あっという間にタヒチ経由での航空券も手に入る
当時はまっていた方位学によると、ぴったし大吉方位
行く距離が遠く、滞在が長いほど良く、結果は数年後にじわじわ出るという
行かない手はない、ぜったいに!!
と思いきや
友人から「ごめん、行けなくなったんで、お世話になったファミリーにお土産を渡してほしいんだけど」
え~~~~
スペイン語ぜんぜん話せないんですけどー
すでに全部の手続きが完了してるんですけどー
タヒチ行きのエア・タヒチヌイ
機内に乗った瞬間にプルメリアの花の香りが優しく漂い、乗客を迎え入れてくれた
座席シートの各テーブルにプルメリアの花が置いてある
女性は耳に挟むのが通常らしい
男性もそうらしい
それはちょっと何なんで、そっとテーブルのわきに挟むことにした
単身ダイビングに行くと言うおじさんが隣に座った
他は、ほとんど新婚カップルのラブアタックな状況である
「妻はダイビングが苦手なもので、一人で来たんです」
食事時におじさんがもう1本くれた初めてのヒナノビール
なんて美味しいんだー♪
長時間フライトの出会いは、普段よりも濃密な演出をしてくれる
人との出会いが本当にすべてだと、確信させられるのだ
う~ん、旅なれてるぅー
深夜の機内
ぐ
ぐ
ぐ
ぐ
ぐぁー
気圧の具合いで、今までにない気持ち悪さが続く
ヒナノビール飲みすぎたーっ!
相当高い所を飛んでいるのか
かなりきてる
顔が青くなっているのは間違いない
隣ではおじさんがスヤスヤ~
はくorはかない、ファイナルアンサーだ
思う限りのリラクゼーション法をためす
やはり深呼吸が効果的
ふーふー。。。。
何とか峠を越えて、日本から12時間後の早朝
パペーテのファアア空港に降り立った
まだ夜明け前の、ほの甘い香りのあたたかい風が、はるか遠くの国に来た感覚を刺激する
楽園ムードとはこれだった
続々と降り立つ新婚カップルの皆さんのムービーカメラ合戦を見て、映画「ホーリー・マウンテン」を思い出す
降り立った先には、アコースティックバンドによる演奏とタヒチアンダンス
そして、皆に歓迎のレイがかけられる
僕とおじさんは、もらえなかった
ゲイの新婚さんかも知れないのに
やはりプルメリアの花を耳に挟むべきだった
到着ゲートを出た両替所前のカップルは
「どうするぅ~50万くらいかえちゃうぅ~?」
いらっしゃ~いの窓口の従業員の対応も、ていねいだ
もちろん自分の場合とは雲泥の差
雲にあたる人生最高潮の新婚さんたちは、キチンと予定通りに事を進めて行く
泥は航空会社のお姉さんとぜんぜん会話が通じない
ようやくライアテア島行きの国内線チケットは取れた
そしてひたすら待つ
長時間空港内でダラダラする初めての体験
ゲイのおじさんはボラボラ島へ旅立って行った
広くない空港ロビーに、ほとんど人はいなくなった
が、少したつと、いろいろな人がやってくる
「パスポートを無くしたんだ、お金を貸してくれないか」
乗り継ぎの待ち時間はたっぷりあるので話を聞くが、金額がころころ変わるのがそもそもおかしい
結局、相棒でお腹の大きい可愛い女の子が「彼にだまされないでね」と助けてくれた
なんなんだ~
ライアテア島。。。。
ライアテア島は聖なる島「ハバイキ」と呼ばれ、ポリネシア人が最初に定住した島
その中でも、オポア村は古代ポリネシア宗教の中心であった由緒ある地であり、「タプタプアテアのマラエ」には、かつて太平洋中の島々から訪れる大型カヌーが上陸し、任官の儀式と異国間の交流が行われたと伝えられている
との情報を目にした
ポリネシアの聖地
ここに行きたいと思った
何故だかわからないが、ただ行きたいと思った
ボラボラ島でも、もちろんパペーテの歓楽街でもなく
タプタプアテアのマラエへ、ピンポイントなのだ!!
ライアテア空港に着いた
しかし、右も左もわからない
マラエまでは、とても歩ける距離ではないのが地図では明らかだが、とりあえずその方角へ進んでみることにする
あー
緑が映える山が素晴らしい
下田とリオデジャネイロを足して、エジプトとマヤのエッセンスをふりかけたような、まったく違う世界に来た感じ
おー
人々や建物もまったく違う
まー
なんというか
逆に自分が違う生き物に見えてくる
んー
それにしても
歩けども歩けども宿泊施設はおろか、商店すらない
腹減ったにゃ~
南の島の日差しが照りつける
んんん~あまりにも無謀だったか?の気持ちがよぎる
ブーン
車が止まった
「どこまで行くの~」
「泊る所はあるの~」
「まぁ乗りなさいよ」
まぁかっこいいイギリス人女性が宿まで案内してくれた
とにかく安く(記憶あやふやですが、1泊1000円くらいだったと思う)こじんまりしたロッジ群とテント張りスペース
最高級に感じのいいオーナーのおばちゃんが素敵だ
「ここの移動はヒッチで大丈夫よー」
荷物を置き、長期宿泊しているアーチストのフランス人女性と話す
女性が輝いている島なんだと思った
なるほど、すんなりヒッチハイク成功
写真を撮ってもいいかと聞くと
「待ってくれ、いい場所で停めるから」らしいことを言う
残念ながらポラロイドではないのだが、現地の人は撮ってくれることが嬉しいという地球の歩き方情報は間違ってはいなかった
親切にマラエのすごく近くまで乗せてってくれた
メルスィ~ボクー♪
タプタプは
風が通る
さわやかな場所だった
たちずさむ
何が起こる訳でもない
ただただ素晴らしい
神聖でもあり、懐かしくもあり、穏やかな気持ちになる
ただただ素晴らしい
太古からの空気を思いっきり吸い込んでみる
何が起こる訳でもない
その時の意識の中では。。。。
帰りはバスに乗ることができた
これは安心なのだ
宿の近くまで行ける
あら?
小道に入って、小さな家の前にとまる
運転手は降りて、家族水入らずのランチに入った
乗客らが「当分発車しないよ」と言っている(フランス語だがたぶん間違いない)
シエスタだ!
バスから降りる子供にダイソーで購入した青いビー玉のひとつを渡す
地球の歩き方情報その2、現地の人へのささやかなおみやげとして、ビー玉や千代紙などが良いという
今どきそんな子供だましが通用するのか
子供が目をまんまるに輝かせて喜ぶ「ママ~なんかもらったよ~♪」
通用しました、ハイ
そして運転再開
バスは快調に飛ばす
開けた窓からの風がここちよい
あー停まる所通り過ぎたー
でも、個人商店で飲み物と食べ物(ビールとかインスタントラーメンとか)を買うことができた
結果オーライでした
てくてく歩いて宿に戻り、近くの海岸に出てみる
遠くにさざめく珊瑚礁が、苫小牧の夜の製紙工場の音に聞こえた
自分が高校生だった時の記憶と交差する
ものすごく遠くに来ているはずなのに、故郷にいる感じ
こんな感覚は初めてだ
いや、遠い昔にあったような。。。。
エメラルドのような熱帯魚や、小さくてかわいいカニが足をくすぐる
ふと遠くに目をやると
大きな虹が海の上に浮かんでいた
しばらく
今までの自分は何だったんだろう、これからどうして行くのだろうと
ひとりごちる
南国の太陽が水平線をだんだんと朱色に染めて沈んで行く
ここは天国に2番目に近い島だ
自分のロッジに戻る
「東洋人が部屋の中で瞑想している」とひそひそ声、明日からの予定をゆるゆる考えているだけだっちゅーの、ちびちびビール飲みながら~
天井のヤモリがゴキブリを追いかける
どちらかが落ちてこないか気になってしょうがない
夜はヤモリをはじめ、いろいろな動物の鳴き声に囲まれる
これはセンサラウンド方式ですね
中でもひときわ異彩をはなつのが、隣のロッジのチャリダー(自転車乗り)の屈強なおっさんのイビキ声
う~ん音量もさることながら、すごいポリリズム
朝方ものすごい雨、いわゆるスコール
もーここの天井が抜けるんでないかと思うくらいの超~豪雨
これは初体験です
そして朝
数時間前が嘘のようにピーカンの晴天
イビキよりも強力なニワトリくんファミリーの鳴き声で目覚める
泊っていたフランス人のゆかいな仲間たちに誘われて
山へハイキングに行く
蚊が容赦なく刺す
虫除けや蚊取り線香は、もはや何の役にも立たない!
東南アジアなら死んでるってゆーくらい全身刺されまくり
これも初体験のかゆかゆだー
でも
高い木から池にダイブして遊ぶ小さな子供たち
それを見守り、岩の上でトランプをする裸の青年たちに出会い
うれしい
ん~ゴーギャンの絵のようです
小さな空港で、パペーテ戻りの便を待つ
「よー日本人かい?」「日本には今度いくよ、大好きなんだ」
がたいの良いイケメン・ポリネシアン青年の、人なつっこいパワー炸裂な笑顔が優しくて、ここに来て良かったーの締めくくりとなった
タヒチ島へ帰ってきた
数日後には、またイースター島からここへ戻って2日くらいの余裕がある
このまま迷うことなく、一気に楽園気分のままイースターへGOなのだー
イースター島に行くランチリ航空の機内はゴージャス!
こりゃハイテクだ~
ゲームもできる
6時間で降りるには惜しい
そして隣の席のおっさんは、オーストラリアで「クリスタル・ケイヴス」という天然石の洞窟博物館を営む変人のオーストラリア人だった!
水晶の話で盛り上がる
イースター島上陸まであとわずか
来た、ついに来てしまった
次回イースター島の巻
そこで試練が訪れる!
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